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NEXT 2019 Tokyo 開催レポート  ~パネルディスカッション~

梅雨だ、雨だ、と言って過ごしている間に気が付けば7月。2019年も折り返しと思うと本当にあっという間に時が過ぎるものです。

特にメディデータにとって6月までの上半期は非常に慌ただしく過ぎていくように感じます。というのも、年に一回のグローバルイベントが日本では毎年6月に開催されているためです。今年は、6月12日(水)にMedidata NEXT 2019 Tokyoを開催いたしました。予想をはるかに超える450名超の方にお越しいただき、うれしい驚きとともに多くのお客様のご来場に心より感謝しております。今回はそのNEXT 2019 Tokyoより、午後のセッション最後に行われたパネルディスカッションを振り返りたいと思います。

患者中心の薬の開発にどう取り組むか?

「Patient Centricityの実現に向けたテクノロジーの活用について」をテーマに、患者さんを中心とした薬の開発をするためにはどのようなアプローチができるのか、テクノロジーはどのような支援となるのかなどについて、製薬企業、CRO、アカデミアなど様々なお立場・視点から議論いただきました。(ご登壇者についてはプログラムをご参照ください。) 計5名の登壇者にメディデータよりAnthony Costello(mHealth Vice President)とファシリテーター役の稲留由美が加わってディスカッションを行いました。

 

テクノロジーの役割、存在、活用方法

患者中心の新薬開発において、テクノロジーができることは何でしょうか。

パネリストからは「Patient Centricityを考える際に最も重要なことは、一刻も早くかつ手に届きやすい形で薬を届けること、また、その提供コストである」という観点から、テクノロジーはコスト削減や開発スピードの向上を推進することで、患者へのメリットをもたらすという考えが共有されました。それに加え、「患者が求める情報を、患者が求める形で提供できること」、さらに「それを受け取る患者自身のペースで理解したり対応を進めたりすることができること」も重要であり、これを下支えできるのがテクノロジーであるとの考えも示されました。

例えば、eConsent(電子同意取得)を利用することで、膨大な紙の同意文書を読み進めて、不安や不明点を残したまま進めるのではなく、ビデオコンテンツで視覚的にも理解を深め、わからない部分はチェックしたり、理解度を確認したり、治験責任医師やコーディネーターとそれをタイムリーに共有し、その人それぞれのペースで進めることができるようになります。インターネットやモバイルデバイスを使うことで、「自分が確認したい時に確認ができる」ようになり環境や雰囲気による同意のプレッシャーを軽減できるという利点もあります。

一方で、新しいテクノロジーを利用する際の考慮点として「セキュアに」「安全に」「インストラクションなしで(直感的に)」使えるものが求められるということもつけ加えられました。

 

Virtual Trialと国内の状況について

患者負担を軽減するための新たな治験の方法として、近年Virtual Trial(Decentralized Clinical Trialと呼ばれることもあります)が注目されています。医療機関ではない自宅や職場などリモートからの治験参加を推進していくためには、電子データ化が必要不可欠となります。コスト、データの信頼性、規制当局の受け入れ、システムのバリデーション、データの収集方法と評価方法やその信頼性などの課題が挙げられました。

バリデーションについては今後も改善が必要な点はまだまだ多くある、としながらも日本はグローバルで見ると出遅れており、まずは評価方法を確立できるものから初め、徐々に広げていく必要があるとの意見が出ました。

また、「どこからがバーチャルで、どこからがそうでないのか」などの質問が多く聞かれている状況に対し、日本では ”Virtual” という言葉にとらわれ過ぎているところがある、とのコメントもありました。制度や仕組みのみならず、考え方・捉え方への理解を深めることも必要とされています。

トライアルダイヤル(試験や対象疾患などによって、試験ごとに来院、非来院の割合を設定する)のコンセプトを採用するなど、言葉やイメージにとらわれず、できるところから導入を進めていけるようになると、より治験実施の手法における柔軟性が高まりそうです。

患者グループとVirtual Trialについてお話しされた経験のあるパネリストからは、日本におけるVirtual Trial実現ポイントとして、1)患者へのメリット、2)患者のリテラシー、3)リスクマネジメントの3つがあるとご紹介いただきました。メリットについては、一般的に言われている「来院回数を減らすことで患者さんの負担が減る」などは、必ずしも全ての人の当てはまるものではなく、試験や患者群、状況などにあわせて(治験実施の方法を)自由に選択できるようになることが本当のメリットになるだろう、との回答にどなたも深く頷かれていたのが印象的でした。

2つ目のリテラシーについては、現在は情報格差が非常に大きいため、その差を埋めていく活動が求められるという指摘がありました。患者向けの勉強会や教育サポートをアカデミアから提供する動きも進んでいるとのことです。

3つ目のリスクマネジメントについては、評価におけるリスクと、安全性におけるリスクの2つがあるとされました。特に安全性に関しては医療現場における体制づくりや協力・支援も重要となるとの意見もあり、企業側だけでなく広い視野視点で考えていく必要性が共有されました。より良い治療法・新薬を適切にスピーディーに提供していくためには業界全体での協力体制が不可欠であるということが改めて認識されました。

以上3点をしっかりと考えながら、Virtual Trialが適しているのかそうでないのかを判断し、試験を実施していくべきであると議論は締めくくられました。

全体を通して、パネルディスカッションにご参加いただいた皆様からは、テクノロジーを臨床試験に取り入れていくことへの前向きなご意見や、まだまだ課題があるなかでも、治療や薬を待っている患者さんのためにも導入を進めていくべきという強い姿勢・想いをうかがうことができました。

メディデータは、患者視点をソフトウェア開発ライフサイクルに注ぎ込むプロセスとして、新たにPCbD (Patient Centricity by Design)を提案しています。米国本社ではPatient Design Workshopを実施し、直接患者の方々の声を聞く取り組みを行っています。ライフサイエンスを支えるテクノロジーカンパニーとして、今後も製薬企業やパートナー企業、アカデミア、そして何よりも患者の皆様と協力し、Patient Centricな新薬開発に取り組んで参ります。

By Japan Marketing

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