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第4回 臨床薬理学会 近畿地方会にて考える「臨床研究・開発におけるデジタル革命」

2019-06-21 - < 1 min read
第4回 臨床薬理学会 近畿地方会にて考える「臨床研究・開発におけるデジタル革命」

6月15日に和歌山県立医科大学にて、第4回 臨床薬理学会 近畿地方会 ~臨床薬理学における新たなイノベーションとその活用~が開催されました。昨年に引き続きメディデータは特別講演のご招待を賜り、日本法人代表の山本武が『臨床研究・開発におけるデジタル革命』と題しまして講演を行いました。

当日は、関西国際空港に飛行機が到着した時は土砂降りの雨だったのが、会場の和歌山県立医科大学に到着するころには太陽が顔をのぞかせ、明るい日差しの中での開会となりました。

開会のご挨拶に続く特別演題においては、現在進められているICH-GCPの刷新と日本での影響について講演がありました。続くスポンサードシンポジウムにおいては、日本における第一線でご活躍されている臨床医や医学統計学の著名な先生方がご参加され、今後の薬事戦略、ならびに免疫チェックポイント阻害剤または分子標的薬のこれまでの治験の現状を踏まえて今後期待されるイノベーション等、幅広いテーマでディスカッションが交わされました。

メディデータの講演では、医薬品開発を革新するテクノロジーとして、データアナリティクスとモバイルテクノロジーの活用について実例を交えて講演を行いました。新薬の開発においては、成功確率の低下と期間の長期化が大きな課題となっています。データによると全てのフェーズにおいてバイオマーカーを特定することにより開発の成功確率が高まっています。

メディデータではRave EDCとシームレスに連携しているRave Omicsにより、オミクスデータの臨床開発データとの連携、分析の一連のプロセスを簡素化します。また機械学習を用いた分析により、従来専門家が数か月を費やしていた時間を数十分まで短縮することを可能にします。

その一つの例として2018年に米国血液学会(ASH)で発表された、特発性多中心性キャッスルマン病(iMCD)における、これまで知られていなかったプロテオーム・シグニチャーに基づいた新しい患者サブグループ発見に至る経緯を紹介しました。この希少難病における早期の確実な診断の可能性、治療が有効な患者群の特定、また新しい治療研究対象の絞り込みなどの発見につながる成果がもたらされました。

後半では、Patient Centricityに寄与する一つとしてモバイルテクノロジーの活用について解説しました。患者目線のきめ細かい医療を実現するために、より重要になるのが試験における患者のEngagementです。昨今製薬企業が抱える課題のトップに挙げられる一つとして、患者のリクルーティングやEngagementがあります。この課題に糸口をもたらす方法としてVirtual Trialが今、米国を筆頭に始まりつつあります。取り組みの一つとしてアスピリンの試験の事例ADAPTABLEを紹介しました。これは、モバイルテクノロジーを活用した試験で、アプリやモバイルデバイスを用いて患者リクルートメント~同意取得~エンドポイント測定~有害事象収集まで完全または一部を医療機関ではなくリモートで実施します。

Virtual Trialは臨床開発における重要課題を解決する取り組みの一つとして今後さらに進んでいくことが予想されますが、患者の安全を第一優先に、プロセスや手法の早期確立に向けてあらゆるステークホルダーとの詰めの作業など取り組まなければならない課題が多いのも事実です。人間が困難や不便さを感じた時に思う「こんなことができたらいいのになぁ」に応えられるのがテクノロジーです。

人間はテクノロジーにより、生活を豊かにし、質を向上してきました。その過程で、既存の仕組みと新たな取り組みの間に生まれる対立や摩擦は、人々の情熱や試行錯誤により徐々に解消され、最終的には「こんなことできたらいいのになぁ」の思い描いたものにたどり着くものだと考えます。日本においてVirtual Trialsはいまだコンセプトの域を脱していないですが、実現するための一歩一歩を進めることで「想いを形にする」一助となる企業として今後も精進していきたい、そのような決意を新たに取り組んでまいります。

By Japan Marketing

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