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CCI France Japon主催Healthcare Conference – Business Leaders Forum 2021 イベントレポート

2021-10-04 - < 1 min read
CCI France Japon主催Healthcare Conference – Business Leaders Forum 2021 イベントレポート

こんにちは、マーケティング部です。度重なる延長により長期にわたっていた首都圏の緊急事態宣言がようやく解除されましたが、今回はまさしくその最終日となる9月30日に行われたHealthcare Conferenceについて、その中からのいくつかのトピックについてレポートをお届けいたします。

9月30日(木)在日フランス商工会議所(CCI France Japon)が主催となってHealthcare Conference - Business Leaders Forum 2021が開催されました。今年はCOVID-19の影響もありオンライン開催も同時に行われるハイブリッド開催で、現地・オンラインを含めて約100名の方が参加されたようです。

今年のテーマは時世をうけて「パンデミックによるイノベーションへのアプローチの変化」とされ、グローバル全土で起こったパンデミックがヘルスケア業界にもたらした影響について省庁や各企業からのリーダーが集結し、講演を行いました。
前半後半それぞれにKeynote(前半は「Overview」の名称)とパネルディスカッションが設けられ、弊社からは代表者として、プロフェッショナルサービス部門のVP 西 基秀が前半のパネルディスカッションに参加いたしました。

Overview

冒頭は経済産業省ヘルスケア産業課長 稲邑琢磨氏からの講演からスタート。経産省の視点から今後の超高齢社会を支えていくためのヘルスケア業界のあり方について、取り組むべき課題とすでに取り組まれている内容について言及されました。稲邑氏はH&PM(Health and Productivity Management)に注力してきた企業の株価に関するデータを紹介し、社員の健康と生産性管理に取り組むことが経済的な価値を生んでいること、また個人のヘルスデータの管理と活用の重要性を示しました。2019年時点でのOECDの中でも日本のPHR(personal health record)データの活用は最下位であり、喫緊の課題であると同時に、そのための環境整備がまさに進められていることが語られました。

PANEL DISCUSSION-1 コロナ禍におけるフランスと日本から得られた教訓

司会も務められたマッキンゼー・アンド・カンパニー日本支社の酒井由紀子氏をファシリテーターとして進められたパネルディスカッションには、欧州製薬団体連合会(EFPIA Japan)ワクチン部会部会長の松本愼次氏と弊社の西が参加いたしました。(当初予定されていた国立国際医療研究センターの大曲氏は生憎キャンセルとなってしまいました。)
これまで長きにわたり数々の感染症を目の当たりにされてきた松本氏はワクチン開発とその普及に関する第一線のお立場から、弊社は20年にわたる臨床開発業界の一員としての視点から、今回のパンデミックのKey takeawayについて意見を述べました。

メディデータの歴史と同じく松本氏は20年以上ワクチン担当をされていらっしゃることから、過去世間を騒がせたワクチン問題のエピソードも交えながらその歴史と今回のワクチン、今後のあり方などについてお話しされていました。

西の自己紹介兼メディデータの会社紹介では、メディデータがグローバル全体でサポートしているCOVID-19に関連する試験が400本以上あること(2021年9月14日時点)や各国がCOVID-19によって影響を受けた臨床試験の割合などをお伝えし、パンデミックの状況下の臨床試験の現状やメディデータの貢献などをお話しさせていただきました。

その後進んだディスカッションでの「パンデミックによって得られた、今後に向けての後押しと考えられるものはどのようなものがあるか?」という問いに対して、松本氏は「国民のワクチンへの意識変化」を挙げ、ワクチンは自分だけでなく周囲の人を守ることにもつながるということをこれまで以上に身を持って体感されたことは大きい、と話されました。事実、いままでのあらゆる感染症ワクチンと比べても接種率は高く、こういった国民全体での感染症対策は他のワクチン接種の接種率向上にもつながる、と期待を寄せました。

一方で西からは「テクノロジー活用の本格化」として、パンデミックが起こる前からテクノロジーは揃っていたこと、またそれをすでに本番で活用できる状態にあった企業が牽引してこの苦境を乗り越えるための打開策(ワクチンや治療法)にいち早く取り組めていることを紹介し、リモート、オンラインで臨床開発を継続できる仕組みを本格的に採用していく動きが活発化していることを挙げました。また同時に今後への期待として、テクノロジーの導入だけでなく、新しい仕組みを取り入れた際の運用面の整備も同時に進めていく必要がある、と括りました。

PANEL DISCUSSION-2 「緊急改革」が研究開発資金や規制にもたらした影響とは?

製薬メーカーであるサノフィや公益社団法人グローバルヘルス技術振興基金、JETROなど多方面からの代表者が集まり、意見交換を行いました。日本がコロナ禍で対応できたことと対応できなかったことが明確になり、今後への課題として、官民一体化の取り組み、人材やサプライチェーンの確保・整備、R&Dへの積極的な投資などが挙げられました。また、次回開催のダボス会議では、有事に対応すべき準備、最新デジタルテクノロジーの活用の最大化、マネタイゼーションできない事象に対して対応等の議論がなされることから、日本独自のソリューションを見つけるだけでなく、国際的な視点からの広域な協業準備を進める必要がある、とされました。
前半のパネルディスカッションでEFPIAの松本氏のお言葉にも「利益追求を基本とする企業(製薬企業)がコストを回収し利益につながるものを優先して取り組むことはある意味で仕方ない一面もある。日本がワクチン開発で出遅れた感があるのは否めないが、ワクチンよりも経口薬などの治療薬に重点を置いたがゆえのことでもある。だからこそ、企業だけなく国も含めて基礎研究などへの投資のあり方を検討しなければいけない」とあり、業界全体+国での取り組みが必要であることがわかります。

 

みなさんもお感じの通り、今回のCOVID-19によるパンデミックは誰も経験したことがないような未曾有の出来事であり、医療現場だけでなく経済、日常生活など全方面に混乱や困難をもたらしましたが、一方でそれがよく働いた部分として、パブリックヘルス(公衆衛生)に対する国民の意識変容があり、これまで机上のみで語られていたものが実際に形になって危機対応がいち早く進められた面もあります。

混乱の中でも驚くべきスピードでワクチンが開発・提供されたことで、「一人が皆のために」「自分だけでなく周囲の命を守るために」という意識が高まり、これまでは個人のデータが自分の預かり知らないところで使われることに嫌悪感を持っていた人々の中にも「今後の危機に備えるため」、「みんなの役に立つなら」と少しずつ考え方が変わってきた方もいるのではないかと思います。

ヘルスケアにおける課題はまさしく国が一丸となって取り組むべきものといっても過言ではなく、この危機からの教訓を無駄にしないためにも一刻も早い対応が求められています。メディデータもその一端を担う立場として、臨床開発におけるイノベーションに今後も挑戦していきます。

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