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センサーデータからの患者のインサイト – 瞬間をストーリーにするコンテキスト|患者の視点

2022-03-03 - 5 min read
センサーデータからの患者のインサイト – 瞬間をストーリーにするコンテキスト|患者の視点

このブログはAnne Marie Mercurioによって執筆されました。 Anne Marie は Patient Advocateの一人であり、メディデータの Patient Insights Boardメンバーです。

Patient Advocate(支援者)として、ディスカッションやウェビナー、カンファレンスなどを通じて情報を収集・共有する仕事をしていると、「あっ!」と思うような言葉をよく耳にします。先日、Medidata NEXTのセッションで、アリゾナ大学医学部教授でバイオメディカル工学部副学部長のSlepian博士の言葉を聞いた時も、そのような瞬間の一つでした。

「私たちは患者さんの訪問時に一時的に診る、いわば患者さんのスナップショットを見るだけですが、患者さんの人生は映画のようにストーリーです。」

Slepian博士の映画のコメントは、私がウェアラブルセンサーとそのデータについて経験するのに最適な文脈でした。私はOuraリングを持っています。Apple Watchもつけています。どちらも臨床的に検証されたデバイスではありませんが、それぞれが提供する情報は非常に貴重です。私の経験は、臨床試験におけるウェアラブルセンサーやその他のコネクテッドヘルスデバイスが、患者の自助努力にいかに役立つかを示す現実的な一例です。

2020年3月、SARS-CoV-2がただでは済まないと思い始めた頃、ある朝目覚めた私は、いつものようにスマホでOuraアプリを開き、指輪からアプリにデータを同期させました。アプリを開くと、TemPredict試験に招待され、その後、2020年12月のNature誌にその成果が掲載されました1

特に私は、この危機が始まった当初この病気の震源地と考えられていたニューヨークに住んでいるので、COVID-19についての理解を深めるために、できる限りの役割を果たしたいと思っていました。私は自宅から試験に参加することに同意しました。国防総省の資金援助で研究が拡大され、抗体検査が行われることになったとき、採血と検体の返送方法を記したキットが送られてきました。

この一連の流れを見て、私は考えさせられました。同時に、私は母の介護者でもありました。母は、(転移性ではありますが病状については安定している)乳がんを患っていました。2020年5月、ひどいタイミングとしか言いようがありませんが、彼女は有効かつ許容できる治療法の選択肢を失いました。その後、細胞障害性薬剤が投与され、ひどく打ちのめされました。しかし、誰も母を長期間見ることができなかったので、どの程度ひどいのか、知る余地もありませんでした。私たちは、母が「だいぶ良くなったよ。今日も元気に動けたよ」と言うのを鵜呑みにし、みなその言葉を信じていました。

母は、私たちに心配をかけたくなかったのです。ケアチームとコミュニケーションをとっていましたが、バーチャルな訪問も、直接の訪問も、ほんの一瞬のことでした。母の最期の数カ月を収めたムービーは、母以外の誰も見ることができませんでした。母は確実に弱っていて、ソファから立ち上がるのもやっとの状態でした。

どうしたら、これを変えられるだろうか?もし母が何らかのデバイスを持っていたら、おそらく彼女の治療チームは母の体力が失われていることに気づいたでしょうし、治療が生活の質に与えている深刻な影響や、確実に、そして日々増大していった身体的制限について、母や私ともっとしっかり話し合う機会を持てたと思います。

ウェアラブルセンサーを追加することで複雑さが増すと言う人もいるかもしれませんが、Medidata Sensor Cloudの発表により、介護者と患者の医療チームが映画のストーリー全体(患者の人生)を見ながらシームレスに統合できるようになったと私は思います。

 

「医療グレードと非医療グレードデバイス双方から生成されるセンサーデータにより、連続的なケア全体にわたってそれらの使い所が存在します。」

– Anne Marie Mercurio, Patient Advocate(支援者), Medidata Patient Insights Board メンバー

 

コネクテッドセンサーデータは、可能な限り臨床試験に取り入れるべきだと思います。この情報は、関連するすべての臨床データと重ねることで、研究チームにとってはるかに多くのインサイトを与えてくれるでしょう。映画全体を見ることで、被験者がどのような状態にあるのか、より適切でより現実的なイメージをつかむことができます。このようにして、有害事象、それも一見「厄介な」事象に対する介入に取り組むことができるかもしれません。

科学を応用し、不可能を可能にするためには、患者さんの体験全体に配慮する必要があります。ウェアラブルや他の接続デバイスからのセンサーデータを臨床試験で使用することで、特に試験の参加がQOL(人それぞれの主観的尺度)に大きく影響する患者さんの継続率を高めることができるかもしれないのです。結局のところ、これはすべての人にとって勝利の組み合わせと言えます。

1 https://www.nature.com/articles/s41598-020-78355-6 (accessed October 11, 2021)

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Anne Marie Mercurio

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