CRCのデジタル疲弊の解消にむけて ~アンケートから見えた臨床試験現場のリアルとAI・統合基盤への期待~
EDCやeCOA、治験ポータルなど、臨床試験の効率化や迅速化に向けたテクノロジーの進化や導入は進み続けているものの、一方で現場のCRC(治験コーディネーター)が抱える「業務の複雑化」という課題が依然として残されています。
本記事では、9月12日-13日に京都にて開催された「第26回 CRCと臨床試験のあり方を考える会議 2026 in京都」にてメディデータが実施したSite Engagementに関するアンケート調査の結果をもとに、課題の特定と解消に向けた取り組みについて考えたいと思います。
システムの多さと煩雑な作業が現場負担に
アンケートで日々のどんな業務に最も負担を感じているか、や、実際に使用しているシステムの数、理想的な臨床試験のあり方について聞いたところ以下のような課題が浮き彫りになりました。
- 複数ベンダーシステムの混在:
1つの臨床試験で4種類以上のシステム・ポータルを利用しているCRCが7割以上という結果になりました。4〜6種類が最も多く(45.9%)、次いで7〜10種類:14.4%で、11種類以上と答えた割合も12.0%いました。同じ試験にも関わらず異なるシステムが混在していることで表示や操作性が異なり、それ自体が負担になっていることがわかります。

- プロセス非標準化:
試験やスポンサーごとに業務プロセスやシステムが異なることへの負担を感じている方が8割以上となりました。(計89.5%:非常に負担:57.9%、やや負担:31.6%)
1つ目の課題にもあるように複数のシステムで異なるUI(ユーザーインターフェース)や操作、プロセスがあることでそれぞれのシステムの扱い方を学ぶ必要があり、それらを使いこなすことだけでも大きな負担になります。

- 学習コスト:
システムが変わるたびに発生するe-learning、操作習得についても8割以上の方が負担を感じています。(計85.2%:非常に負担:42.1%、やや負担:43.1%が負担と回答)
多くのシステムではバージョンアップや機能追加、UIの刷新など様々なアップデートが発生します。これによりシステムが変わるたび、新たなシステムが加わるたびに学習時間の確保も課題になります。試験で使うシステムであるがゆえに学習しないことには試験での利用ができず、必然的に組み込まなければいけないものとしてこれも1つの負担になっています。

データ入力作業の重複への負担
また、複数システムの対応だけでなく、改善を望む内容にはデータ入力の手間も上位にあがっています。「治験システムを利用していて、「もっとこうだったらいいのに」と感じることは何ですか?」という問いでは、「1つのIDで複数システムを利用できる」「必要な情報を1か所で確認できる」に次いで「同じ情報を何度も入力しなくてよい」という項目が多くの回答を集めていることからも、現場にはまだまだ多くの作業とそれにかかる負担が残されていることがわかります。

「AIによってCRC業務をサポートできるとしたら、どの業務で使ってみたいですか? 」という問いに対しては、「 【入力】 カルテ等の情報からEDCへの「自動転記・入力」」が文書チェックと同率1位になっており、普段いかにCRCが多くの画面や資料を行ったり来たりし、何度も同じデータの入力を求められることへの負担を強いられているかがわかります。


ライフサイエンス業界においてもあらゆる分野でAI活用が注目を集めていますが、セキュリティや予算の問題から臨床試験に対応する医療現場でのAI導入はまだまだ多くの課題が残されています。
臨床試験体験の向上を支える医療現場の負担軽減こそ優先課題
「患者中心」という言葉が業界の共通言語となって久しいですが、その患者さんを現場で支える人たちが患者さんに向き合う時間が十分に取れていない可能性を考えると、さまざまな角度からアプローチを続けていくことも必要です。
製薬企業やスポンサー、CROが治験の質とスピードを高め、患者中心の試験を真に達成するためには、Site Engagementが不可欠となります。
実際の臨床試験はシステムの中で進んでいるのではなく、試験に参加している患者さん、それを支える家族、医療スタッフ、そしてそれをサポートするCRCのみなさんがいるまさにその「現場」で起こっていることです。その現場での業務がスリム化することは臨床試験体験の向上と無関係ではありません。
また、デジタル化は本来臨床試験に関わるみなさまの業務をより効率的にするためのものです。しかし現実には、システムごとに異なる操作を覚える必要があったり、複数のシステムを使い分けたりすることで、新たな負担を生んでいる側面もあり、業界全体として考慮すべき事項でもあると考えています。
一方で、eCOAをはじめとするこれまでのデジタル導入や変革も同様に、移行期における困難や混乱を乗り越えてきた歴史があります。
技術の進化に伴うデジタル化の加速は止めることができません。重要なのは、この移行期に生じる現場の負担をいかに小さくするかです。そして、よりシンプルで標準化された環境へ、いち早く移行していく柔軟性も必要になります。そのために、私たちベンダーが現場の声を継続的に聞き、システム提供だけではなく、業界全体での標準化やシステム間の連携、ユーザー体験の改善を進めていくことが、今後ますます重要になると考えています。
システムの乱立やサイロ化を解消する1つの解決策として、メディデータではプラットフォームソリューションの提供による一貫したUIと操作性、シームレスなデータ連携や管理にとどまらず、EHR(電子カルテ)との連携にも注力しています。システムそのものの使いやすさはもちろん、画面操作のサポートとしてAIチャット機能(Platform Guide)も提供しています。
また、メディデータではより一層現場の声に耳を傾け、反映していく活動も行っています。そのための機会として、昨年Site Insight Roundtable ディスカッションを実施いたしました。そしてこの秋、2026年11月下旬頃にこの第二回目となるイベントの開催を予定しております。
メディデータはもちろんのこと、業界としてどのような対策ができるのかを考えるべく、ぜひ皆様のご意見をおきかせいただけたら幸いです。
本イベントにご興味をお持ちいただいたSMO企業様、CRCの方々はぜひこちらへお問い合わせください。(詳細確定後、ご案内させていただきます。)
当日展示ブースにてご紹介した、Health Record Connect、eCOA、Sensors、myMedidataなどのソリューションは各製品ページよりご覧いただけます。
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