Medidata Blog

Decentralized Clinical Trialsにおける Quality by Design:テクノロジーの役割とは?

2021-06-22 - < 1 min read
Decentralized Clinical Trialsにおける Quality by Design:テクノロジーの役割とは?

Decentralized Clinical Trialsにおける Quality by Design:テクノロジーの役割とは?

4 月19日、ICH(International Conference on Harmonization:日米EU 医薬品規制調和国際会議)は、GCP(Good Clinical Practice:医薬品の臨床試験の実施に関する基準)に関する最新の原則ICH E6(R3)の解説書およびそのドラフトを公開しました。本原則は「改訂作業中」とされていますが、ワーキンググループの現在のビジョンを振り返り、最新のICH E8 R(R1)「臨床試験に関する一般的考慮事項の改訂」と合わせていくことになります。

ICHが秋に発表するICH E6(R3)は、包括的原則文書(上述のドラフト版)に加えて、付随文書1(Interventional clinicalを扱う)と付随文書2(non-traditional interventional clinical trialsに必要な追加的考慮事項を提供する)で構成されます。包括的原則文書及び付随文書 1 は、現行の ICH E6(R2)に代わるものとなります。

この初期のドラフトを確認すると、最も重要なメッセージの一つは、Quality by Designの原則に関連してICH E8(R1)と一致しています。R3では、試験計画書やプロセスに品質の項目を考慮して臨床試験を設計することにより、臨床試験の品質を積極的に推進することを明確にしています。このようなアプローチは、初期の計画段階から試験運営全体に適用されるべきものです。COVID-19パンデミックの際に製薬業界が目にしてきたように、COVID-19に特化したガイダンスを発表したほぼすべての国際的な規制機関が、リスク評価活動を行うことの重要性を指摘しています。R3でのこの言及は、組織内での品質文化の確立に関するR2と完全に一致しています。

R3では、Quality by Designが強く強調されていることに加えて、試験のデザインと実施に対する改善や効率的なアプローチをサポートするために、テクノロジーの導入が原則に記載されています。R2では、テクノロジーという言葉は1回しか使われていませんでしたが、今回の原則では9回言及されています。この変更は、臨床試験業務の近代化を反映したものです。テクノロジーが臨床試験のオペレーションに与える影響は非常に大きく、分散型の試験戦略が用いられたCOVID-19ワクチンの開発がその好例となっています。テクノロジーの貢献がなければ、患者の臨床試験への参加や治験施設外でのオーバーサイト業務は不可能だったでしょう。これらの治療方法が迅速に市場に投入されたのは、R3の原則に沿った迅速な意思決定と問題解決を可能にする、リアルタイムのデータインサイトにリンクしたリモートデータキャプチャーがあったからです。

臨床試験の実施に対してテクノロジーを適用する場合、個々の被験者の特性や特定の試験デザインに適合させる必要が生じます。このことは、テクノロジーの適用とQuality by Designとの間に重要な相互作用が存在することを示しています。この相互作用に対処する最善の方法は、試験計画設計段階および臨床試験の実施中にリスクアセスメントを実施することであり、それは当然と言えるでしょう。

また、R3では、被験者(subject)という用語から参加者(participant)という用語へと移行したことも注目すべき点です。R1、R2では使用されていなかった参加者という言葉が、R3では33回も使用されており、GCPにおける患者中心主義がより強調されていることがわかります。

この初期のドラフトと解説書は、新しい改訂版の原則を理解する上で歓迎すべきものであり、臨床試験のデザインと実施におけるQuality by Designの原則と健全な技術の導入の役割を明確に定義するのに役立っています。

ICH E6 (R3) の変更点については、ウェブキャスト「Preparing for ICH E6 (R3) Good Clinical Practice Changes」(英語)をご覧ください。

 

著者について:
クリニカルオペレーションテクノロジー プロダクトマネジメント シニアダイレクター Brian Barnes

Brian Barnes はメディデータ・ソリューションズの RBQM 製品開発担当シニア・ダイレクターです。Brian は臨床開発分野で 15 年の経験を持ち、過去 9 年間、RBQM を専門にサポートしており、小規模から大規模の製薬企業、バイオ製薬企業、バイオテック企業の業務ソリューションを専門としています。また、Association of Clinical Research Organizations (ACRO) の RBQM Working Group の共同研究者でもあり、業界の会議やカンファレンスで RBQM に関する講演を行い、学術誌にも発表しています。

 

この記事は2021年6月22日にGeeks Talk Clinicalでの英文投稿の抄訳となります。原文はこちらをご参照ください。

ニュースレター配信登録