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分散型臨床試験を可能にするテクノロジーイネーブラー | データマネジメントの将来像シリーズ

2022-01-26 - 5 min read
分散型臨床試験を可能にするテクノロジーイネーブラー | データマネジメントの将来像シリーズ

このブログはMedidataのストラテジックコンサルタントチーム Senior Engagement ConsultantであるAmy Calvinによって執筆されました。

分散型臨床試験(DCT)の拡大は、臨床試験の全領域にまたがるいくつかの重要なテクノロジーによって実現されています。これらのテクノロジーを成功裏に展開するためには、一般的な落とし穴や課題を回避し、臨床試験を成功に導くための事前の戦略や計画が重要です。 

このブログ記事では、最も重要な分散型臨床試験技術の実現方法と、分散型臨床試験を計画する際に考慮すべき点を探ります。

分散型臨床試験を可能にするテクノロジーイネーブラー

患者向けテクノロジー: ペイシェントエクスペリエンスは、臨床試験全体の成功に欠かせない最も重要なものです。臨床試験情報へのアクセス、ユーザーフレンドリーなトレーニング資料、ビデオチャット、DtPなど試験に必要な供給物を受け取る選択肢を提供することなどは、臨床試験におけるペイシェントエクスペリエンスを最適化する上で重要になります。

それぞれの患者側を支援するテクノロジーに加えて、デジタルコミュニティにおける広範な情報共有も、プロセスを促進し必要な情報や試験のアップデート、アラートなどに簡単にウェブアクセスできる患者中心のテクノロジープラットフォームで可能になり、同時に患者は試験に関する意見やフィードバックを提供できるようになります。これらはすべて、患者向けテクノロジーによってペイシェントエクスペリエンスを向上させ、その結果、試験の募集と参加継続を向上させることにつながります。

 

臨床試験プロトコルの開発・設計機能: 臨床試験のデザインが分散型か従来型かにかかわらず、プロトコルは臨床試験のプレイブックとして機能します。大まかに言えば、試験のデザイン、目標、目的、結果、そして安全に完了するための活動を定義するものです。プロトコルの開発とデザインにおいて、治験実施施設と患者の負担を理解するための技術は、特定の試験における適切な「分散化」のレベルを決定するのに役立ち、全体的な成功の確率を高めることができます。

 よく聞かれる質問に、「どの程度の分散化はやりすぎなのか」というものがあります。この質問に対する簡単な答えはありませんが、試験における分散化のボリュームは、プライバシーに関連する可能性のある懸念事項を含め、患者と施設の両方の視点を考慮することによって、効果的に管理することができます。

例えば、ウェアラブルデバイスによって、臨床試験データを包括的にリモートで収集できますが、リモートでのデータ収集のためにあまりにも多くのセンサーを導入すると、施設と患者に不必要な負担がかかり、最終的に登録と参加継続に影響を及ぼす可能性があります。そのため、適切なバランスを見つけることが重要となります。

 

リモート / オンサイトでの同意取得: 従来、患者の同意は個別の出来事であり、テクノロジーによって実現される継続的なプロセスとは考えられていませんでした。試験の種類にもよりますが、患者の同意プロセスを電子的に取得し自動化することで、情報交換とデータ取得の柔軟性と一貫性が得られます。理解しやすい情報を提供し、試験期間中に同意書にアクセスできるようにすることは重要ですが、もちろんその過程で適切な規制コンプライアンスが維持されていることを確認する必要があります。

 

アウトカムデータの収集: IoTにより、遠隔データ収集のためのコンシューマーグレードとメディカルグレードの技術が数多く存在するようになりました。残念ながら、適切なツールを選択することは、必ずしも容易ではありません。ツールを選択する前に、最初のステップとして、関心のあるデジタル指標を明確に特定する必要があります。

例えば、あるデジタル指標(複数可)を有効性を理解するためのバイオマーカーとして使用できるかどうかを検討している場合、改善または減少の要素(歩数、睡眠時間など)を理解するのに役立つモバイル技術を考慮する必要があります。継続的な安全性のモニタリングが必要な場合は、心拍数や体温などのデジタルデータを生成するセンサーの導入も考えられます。

デジタルテクノロジーの最終的な用途が何であれ、ツールを導入する根拠、目的、目標を明確にすることが重要です。このプロセスは、どのツールを使用するのが最適かを絞り込むのに役立ります。言い換えれば、この作業は仕事に適したツールを見つけるための重要なステップなのです。

関心のあるデジタル指標とセンサーを特定することに加え、データの相互運用性、取り込み、アクセスも重要な技術的検討事項になってきます。最終的には、1つのデータプラットフォームで、様々なセンサーによる様々なデジタル測定を利用できるようにすることが理想的です。これにより、あらゆる環境での同時データ収集、エンドツーエンドのデータフロー、統一されたデータソースへのアクセスが可能となり、より迅速で堅牢な臨床試験の意思決定が実現します。

 

データ監視: 分散型臨床試験では、データの監視や重要なデータソースが通常と異なる場合があります。例えば、データソースには、電子患者報告アウトカム、様々なセンサー、在宅医療処置の結果(ラボなど)が含まれる場合があります。

データ収集の方法/場所にかかわらず、収集されたすべての臨床試験データをリアルタイム/リモートでアクセスできるデータプラットフォームは、自動化されたインテリジェントプロセスを導入してデータのほぼリアルタイムなレビューを提供できるようにするために重要なものです。さらに、データ管理戦略によっては、臨床データ管理者のスキルセットや役割が従来の臨床試験とは異なるものになる可能性があります。分散型臨床試験のデータ監視に関連する戦略、役割、責任を明確にすることは重要な第一歩です。データ管理戦略の一環として考慮すべき3つの領域は以下の通りです。

  1. データの完全性を理解するためのリアルタイムのコンプライアンスモニタリング
  2. 安全性に関するデータモニタリング
  3. データの品質と完全性のためのデータモニタリング

さらに、リスクベースの品質管理評価ツールを使用することは、分散型試験の一環としてデータ収集を監視する作業に関連する重要なデータ要素、主要リスク指標(KRI)、品質許容限界(QTL)、異常値プロセスを定義し、特定するためにも有用です。 

 

イシューマネジメント: 主要なリスク指標と品質許容範囲が定義され、適切なデータ監視技術が導入されると、臨床試験データを評価するのは、リアルタイム監視のイベントとなります(エピソード型ではなく)。このアプローチにより、データの異常、品質、ギャップに関する問題を並行して特定し、ほぼリアルタイムで解決することができます。

そのため、問題の管理と解決に関連するデータの一貫したプロセスと取得を可能にするテクノロジーイネーブラーの必要性が最も重要になってきます。この技術により、全体的なデータ品質の向上、効率的かつ効果的なプロセス、透明性と認識を高めるための自動監査証跡ができるようになります。

 

分散型臨床試験に着手する前に、分散型試験デザインの専門家と早期に議論し、上記のテクノロジーイネーブラーのトピックを考慮することを強くお勧めします。明確な戦略と目的によって導かれる早期の計画が、分散型臨床試験の成功の可能性を最大限に高めることにつながります。

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このシリーズの全ブログポストは下記よりご覧いただけます。 タイトル「クリニカルデータマネージャーの将来像シリーズThe Future of Clinical Data Management.)」

Pillar Post: Is the Future of Clinical Data Management Finally Here? Indeed It Is!

Post 2: DCTの患者へのメリットとクリニカルデータマネジメントへの影響

Post 3: 分散型臨床試験を可能にするテクノロジーイネーブラー | データマネジメントの将来像シリーズ

Post 4: Adapting to Modern Clinical Data Management Methods Requires Cultural Changes

Post 5: Adapting to Modern Clinical Data Management Methods Requires Process Changes

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