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個人情報保護委員会は、データの外部提供の例外規定について新たな方針を発表

2021-04-22 - < 1 min read
個人情報保護委員会は、データの外部提供の例外規定について新たな方針を発表

個人情報保護法において、データの外部提供には原則として本人同意が必要であると定めているが、医療分野においては「生命や財産の保護」「公衆衛生の向上」などの目的で必要な場合は、例外として同意なくデータを活用できるという規定が設けられている。今回例外規定に新たに追加されたのは、「公衆衛生の向上」を目的とした場合に、「医療機関のデータを製薬企業等に提供」できるとするものである。これは、製薬企業や医療機器メーカー(製薬企業等)による個人の診療データ活用を想定している他、製薬企業等が自ら同意を得て収集したデータの目的外利用が想定されている。

このような本人同意の例外を明確にする方針は、2019年12月に公表された「制度改正大綱」で初めて示されたが、2021年1月に改めて取り上げられ、今回追加された例外規定は、2021年夏ごろまでの公表に向けたガイドラインに盛り込まれるものだ。

ここで、令和3年3月24日に交付された令和2年個人情報保護法改正では、改正前から存在する「匿名加工情報」に加えて、新たに「仮名加工情報」という概念が設けられた。匿名加工情報は、データ元である個人情報を復元できない加工をした情報であるのに対し、仮名加工情報は、他の情報と照合しなければ特定の個人を識別できないと同時に、他の情報と照合することで原データの個人情報を復元できる情報を指す。この改正は、データ利活用に関する施策として設けられたが、臨床試験データは仮名加工情報であることに他ならない。

その他、新たなガイドラインでは、個人情報を使って学習したAI(人工知能)エンジンの認識結果や出力結果が個人情報に当たらない範囲なども明示されることとなっている。これら、仮名加工情報、医療機関所有の情報、AIを合わせて活用できる環境が揃うことから、パーソナルデジタルヘルスケアへの広がりが期待できる。

これまで個人情報の活用は厳格な運用が必要とされ、また、法の解釈上の不均衡がデータ利活用の妨げになることが顕在化していたが、今回の制度改正はそれらを是正し、今後のデータ利活用を大きく促進することが期待される。

メディデータ傘下のAcorn AIがサービス提供するSynthetic Control Arm®は、業界横断的な過去の試験データを用いて作成された唯一の合成対照群を提供するサービスである。しかし、従来の個人情報保護法の解釈が、日本における利用の促進を妨げていた。今回の規定見直しにより、Synthetic Control Arm®の国内での利用が進み、ヒストリカル臨床データを活用した合成対照群を用いて、初期段階の単群試験からさらなる洞察を得て、より良い臨床開発の意思決定を後押しできるようになることを歓迎する。

 

参照:

承認申請等におけるレジストリの活用に関する基本的考え方

https://www.pmda.go.jp/files/000239817.pdf

レジストリデータを承認申請等に利用する場合の 信頼性担保のための留意点

https://www.pmda.go.jp/files/000239818.pdf

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