中枢神経系疾患の患者を支援する:パッシブアクティグラフィー・モニタリングの力

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2025-05-08
中枢神経系疾患の患者を支援する:パッシブアクティグラフィー・モニタリングの力

多発性硬化症(MS)などの中枢神経系(CNS)疾患において、疾患の進行を効果的かつ正確に測定することは、非常に複雑で困難です。MSは通常、運動機能、認知機能、感覚、視覚に関わるさまざまな障害を引き起こし、その症状は個人ごと、そして時間の経過とともに大きく異なる可能性があります。さらに難しさを加えているのが、従来の臨床評価です。これらは多くの場合、診療所での断続的な評価に依存しており、症状の変動や微妙な機能低下を捉えきれないことがあります。

ウェアラブルセンサーとパッシブアクティグラフィー・モニタリングの進歩により、多発性硬化症(MS)を含む多くの中枢神経系疾患の進行を、より正確かつ継続的に、しかも負担の少ない方法でモニタリングすることが可能になってきています。これにより、以下のような利点が得られます:

  • 実生活での継続的なデータ取得:ウェアラブルデバイスは24時間365日、自動的にデータを収集することができ、日常生活における機能や時間とともに起こる変化に関する新たな洞察を提供します。
  • 変化の早期発見:歩行、バランス、活動レベルの微妙な低下を、診療の合間でも検出することができます。
  • 客観的な指標:アクティグラフィーは運動機能や動作に関する定量的かつ偏りのない指標を提供し、エビデンスの標準化に貢献します。
  • 治療効果の評価向上:継続的なモニタリングにより、特に臨床試験において、小さくても臨床的に意味のある改善を捉えることが可能となり、治療の効果をより高感度に評価できます。

メディデータが、ウェアラブルセンサーによる実生活下でのモニタリングをどのように臨床研究へと活用し、多発性硬化症のような運動障害においてパッシブな活動モニタリングを通じて新たな患者インサイトを引き出しているか、ぜひ続きをお読みください。

現状への挑戦:より深い洞察をもたらすパッシブデータの活用

最近、MedRxivに掲載されたプレプリント論文では、多発性硬化症(PwMS)患者における歩行、身体の揺れ(スウェイ)、および移動能力の評価において、パッシブデータが非常に臨床的に有用であることが強調されました¹。6週間にわたるデータを分析した結果、パッシブデータは日常生活における症状の変動を、指示された特定のタスクよりも正確に反映しており、疾患進行に関するより深い洞察を提供することが示されました。また、6週間のデータをまとめて分析するよりも、3日間といった短い期間ごとの分析の方が、より臨床的に意味のある結果をもたらしました。

メディデータは、多発性硬化症(MS)やハンチントン病、パーキンソン病、アルツハイマー病といった運動障害に特化した独自のメトリクスパッケージを提供しています。これらのパッケージには、加速度センサーの信号から算出される数百種類の指標が含まれており、臨床的な変化の兆候を捉えるための洞察を提供します。

歩行ダイナミクス

歩行ダイナミクスでは、歩幅、遊脚期、立脚期の持続時間、デューティファクター(歩行周期における立脚期の割合)、両脚支持時間、平均歩行テンポなどを解析することで、患者の移動行動に関するさらなる洞察が得られます。これにより、運動機能や神経筋制御の微細な変化を捉えることが可能になります。

姿勢の揺れ(ポスチュラル・スウェイ)

姿勢の揺れは、患者の姿勢制御能力を測定する指標であり、自立して立つための基礎的な能力を反映します。姿勢制御の低下は、神経機能の衰え、転倒リスクの増加、あるいは筋骨格系の機能障害によるバランスの不良を示す可能性があります。

活動の複雑性

活動の複雑性では、動作中と安静時の両方を含む連続的なパッシブデータを解析し、その強度や持続時間を定量化することで、痛み、疲労、気分などの内的状態に対する患者の適応能力を評価します。バランスや移動能力に慢性的な障害を抱える人々においては、さまざまな要因が身体の動きや活動の多様性・強度を低下させ、その結果として活動パターンの複雑性も減少します。

臨床試験への示唆:統合的かつ実行可能なアプローチ

最近MedRxivに掲載されたプレプリント論文の結果は、パッシブ解析が有望なデジタルバイオマーカーとしての可能性を持つことを強調しています。パッシブモニタリングをメディデータの統合プラットフォームに組み込むことで、動作パターンを継続的に追跡でき、疾患の進行状況、治療効果、悪化の兆候などについての深い洞察を得ることが可能になります。これにより、医療機関や治験スポンサーは、高度なレポート機能とデータアクセスを活用し、的確な対応を取ることができます。

私たちは、クリニック外での行動を正しく理解するために、中枢神経系疾患(CNS)における実生活下でのパッシブモニタリングの力を信じています。ウェアラブル技術と統合プラットフォームを活用することで、患者の健康状態に関するより深いインサイトが得られ、それがより良い治療成果とCNS疾患患者の生活の質向上につながります。今後もデジタルバイオマーカーの可能性を探求しながら、より個別化された効果的なヘルスケアソリューションの未来に期待を寄せています。

360度の視点:センサーを活用した患者中心のアプローチ

メディデータでは、臨床試験の全過程を支えるエンドツーエンドのテクノロジー体験を提供しています。ウェアラブルセンサーを含む、完全統合型の患者中心ポータルにより、患者の元から高品質なデータを収集することが可能です。このデータはシームレスな体験の中で取得され、規制当局への申請成功に向けた貴重なインサイトを生み出します。

メディデータは、ウェアラブルデバイスを通じてパッシブにデータを収集することで患者の負担を最小限に抑え、自宅、医療機関、または移動中など、どこからでも参加できる柔軟性を提供し、コンプライアンスと継続率の向上を実現しています。実生活下のデータを分析することで、リスクや安全性に関するイベントを早期に検出し、より高い精度で反応者を特定することが可能になります。このセンサーは、当社の患者体験プラットフォームに統合されており、主観的なePRO(電子患者報告アウトカム)データを、高精度な客観データで補完することで、患者の状態を360度の視点で捉えることを可能にします。

参考文献:

  1. Meyer, B. M., Agarwal, N., Gamboa, K. M., O’Learly, A., Solomon, A. J., McGinnis, R. S., & Ceruolo, M. (2024). Beyond prescribed activities: examining passive postural sway and gait data in patients with multiple sclerosis. medRxiv (Cold Spring Harbor Laboratory). https://doi.org/10.1101/2024.11.05.24316692
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