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Virtual Clinical Trialsによるデジタル革命

2019-11-08 - < 1 min read
Virtual Clinical Trialsによるデジタル革命

By Noboru Mizuki

10月15日、UBM主催のファーマIT&デジタルヘルスセミナー大阪2019が開催されました。最初のセッションでは、Monthlyミクス編集長の沼田氏から『製薬産業に迫る構造改革 - 今後のデジタル戦略で求められるポイント』と題して、日本の人口構造の変化から医療政策に与える影響や医療ICTを活用した事例の紹介がありました。2つ目のセッションでは、IQVIAジャパンの松井氏から『リアルワールド・データ(RWD)を活用した前向きモデル構築のためのテクノロジーとメソトロジー』として、ファイザー社の事例でリアルワールドデータを活用したFDAでの男性乳がんへの追加適応の事例などが取り上げられました。

弊社からは、シニア・ストラテジックサービス・アカウントマネージャーの水木より『Virtual Clinical Trial(De-centralized Clinical Trial)によるデジタル革命 〜臨床試験におけるモバイル活用事例と今後の課題〜』について紹介しました。

eClinical Solutionの発展の歴史は、1990年代からのEDCの市場導入に始まり、2000年代にはEHR、ePRO/eCOA、センサー、eConsentなどが普及してきました。最近では、インターネット環境にアクセスして誰でもモバイルデバイスを所有するため、eCOAのBYOD(Bring your own device)、遠隔医療、ビックデータ解析、Virtual Studiesが注目されています。さらには外部環境の変化により、患者中心かつ社会保障制度を維持するためにValue based pricingの観点が重視されてきています。ePRO/eCOAやセンサー技術によって、今まで収集していなかったデータを蓄積して解析することできます。このような背景から、新たなエンドポイントを模索する動きも出てきています。

Virtual Trialは、Site-Less Trials/Remote Trials/ Decentralized Trialsなど複数の名称で呼ばれています。Virtualという言葉で勘違いしてしまうケースもありますが、CTTIが提唱するDecentralized Trialsが実質的な意味合いに近いかもしれません。そのメリットとしては、素早い被験者のリクルートメント、被験者リテンションの向上、被験者のための優れた管理・利便性・快適性、多様性のある被験者背景を確保、介護者や在宅治療への機会を拡大があります。メディデータは、eConsent、ePRO/eCOA、Wearable Sensors、Virtual TrialsといったmHealthプラットホームでPatient Engagementを推進しています。

Virtual Trialsは、アプリやデバイスなどを活用して、リクルートメント・同意取得・エンドポイント測定・有害事象情報などの収集を、完全または部分的にリモートでおこなう新しい試験モデルです。従来型の治験は100%を施設で行うプロトコルになっていますが、今後は50%施設で50%リモートのハイブリッド型や100%リモートの完全Virtualの試験の増加が予想されます。例えば、弊社(2017年にMedidataが買収したMytrus社)で実施した100%Virtualの試験としてファイザー社のREMOTEがあります。FDAへの申請承認を目的として実施された最初の試験で、2011年に開始されました。モバイルやWeb-baseでオンライン・スクリーニング、ID発行、ICFへの署名を実施します。過活動膀胱の患者さんを対象としたPhaseⅣの試験で、被験者は試験終了時に結果のレポートを受け取ります。途中で中断(最終18症例)しましたが、この試験がVirtual Trialの先鞭をつけました。また、弊社最大のVirtual TrialであるAdaptableは、15,000例の患者さんを30ヶ月、完全にVirtualでフォローアップする臨床研究です。安全性は確立されているものの、適切な容量が不明であるアスピリンの81mg/325mgとの比較試験で、心疾患・脳卒中・出血・死亡への影響を調査します。この試験では、まずデータベースから対象となる候補者に対して、一次リクルートが行われました。興味を持った患者さんにはWebポータルサイトにアクセスするためのコードが送られます。患者さんはそのコードを用いてサイトにアクセスし、参加条件の確認と同意、アカウントの作成、無作為化のステップへと進みます。試験参加後は、定期的に電子メールやショートメッセージで定期的にリマインダーを受け取ります。このようにVirtual化することで、一般的な試験に比べて、全体の患者さんのうち同意までの進捗率、試験完了率が改善することが分かってきています。

最近は日本でもハイブリッド型のePRO/eCOAの臨床試験やWearable Sensorsの臨床研究などの事例が増えています。今後は、試験のどの部分をVirtual化していくのか、eConsentも含めて検討して具体的に実行する段階にきていると思います。ぜひ、一緒に患者さんにとってより良い臨床試験のあり方を考えていきましょう。

 

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