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なぜ治験をバーチャル化するのか

2019-04-04 - < 1 min read
なぜ治験をバーチャル化するのか

臨床試験の第I相を完了した新薬のうち上市に至るのはわずか10%で、第III相までに30%以上の被験者は治験参加を中止します。規制や物流上の課題、その他様々な問題に阻まれ、従来の臨床試験の多くはうまくいかずに終わってきました。 つまりそれは、新薬や新たな医療機器、治療法が、必要とする患者に届くまでにかなり長い時間を要するということです。

患者中心の考え方が強まる中、クラウドベースのツールが発展したことを背景に、バーチャルトライアルが、これまでの臨床試験にあった多くの障害を取り除き、治験のスポンサー企業、治験責任医師、そして患者自身にメリットをもたらします。バーチャルトライアルは、治験参加を促進し、患者エンゲージメントを高め、患者の負担を軽減してくれるでしょう。

患者中心のアプローチが、治験参加の課題を改善

従来型の臨床試験モデルでは、患者にとって治験参加が容易でないだけでなく、収集できるデータの質と量の両方を制限します。

標準的な治験では、治験責任医師が必要なデータを診察時に収集するため、患者は定期的に病院を訪れなければなりません。来院にかかる時間は患者に負担をかけ、治験後半での参加中止にも影響します。また、データ収集は、患者が来院した際のほんのいっときだけであることに加え、ストレスのかかる非日常の環境で行われるため、より正確に患者の状態を把握する機会が失われています。

バーチャルトライアルによって、こういった状態が変わります。ウェアラブル技術により、患者は自宅にいながらにして必要なときにいつでもデータを記録・収集することができます。これによって、これまでよりはるかに患者の全体的な健康状態を知ることができるようになります。ビデオツールは、医師が患者と「会う」ことや迅速に彼らのニーズに応えることを可能にし、さまざまなアプリやオンラインツールにより、患者は積極的に治験へ参加し、治験期間中を通してそのエンゲージメントを高いまま維持することができるのです。

また、バーチャルツールは、患者が参加しうる適切な試験を見つけることにも役立ちます。参加可能な何百もの臨床試験に容易にアクセスできるデータベースを用いて、患者は関連する試験を素早く見つけることができます。

バーチャルトライアルで費用と時間を削減

バーチャルトライアルを実施するためのテクノロジーを導入すると、初期費用がいくらか増える可能性がありますが、それ以外の様々なコストが短期的にも長期的にも削減されます。迅速に、より豊富なデータを収集することで治験実施をより効率的にし、これまでよりも迅速な意思決定を可能にします。患者は適切なときに、いつでも、すぐに情報を共有することができ、医師はより広い面で被験者にアクセスできます。

仮想データベースは、データを直接収集・保存し、レポートの転記によって起こる人的エラーのリスクに晒されることなく、クラウドベースの分析で適切な情報を導き出します。

バーチャルテクノロジーがスタディマネジメントを効率化

バーチャルトライアルのテクノロジーは治験担当医師のプロセスも合理化します。ウェアラブルや他のテクノロジー機器は常にデータを送信するため、患者の短い来院時間中に医師が急いで関連データを収集することを最小限にします。また、データを処理・分析するツールを兼ね備えているため、スタッフがサイト上のデータ管理に費やす時間も短縮されます。

バーチャルツールが規制コンプライアンスを向上

バーチャルトライアルのテクノロジーは、あらゆるレベルで規制へのコンプライアンスも向上させます。クラウドベースの分析ツールは、文書化において必要な情報がないもしくは基準を満たしていない箇所を検知し、試験が開始される前にすべての要件を満たしていることを確実にできます。言い換えれば、これにより、過去に提出された文書の修正および補足に費やされてきた時間や費用を削減することができるのです。

FDAは現在、臨床試験を改善するための新しいバーチャルテクノロジーに賛同しており、あらゆる臨床試験にモバイル技術を取り入れるための新しい機会を創出するClinical Trials Transformation Initiativeにも参加しています。

試験のスポンサーリングから患者の参加まで、バーチャルテクノロジーはどのレベルにおいても臨床試験をより良いものにしていくことができます。専門家や患者のための革新的なクラウドベースのツールを使用して、バーチャルトライアルは新薬や新たな医療機器を開発するプロセスを合理化します。

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本ブログ記事は2019年3月5日に公開されたGeeks Talk Clinicalでの英文投稿の抄訳となります。原文はこちらをご参照ください。

By Japan Marketing

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