臨床データレビュー:自社開発(DIY)アプローチ vs. 最先端システム
自分でできるからといって、やるべきとは限りません。この普遍的な真理は、DIYの日曜大工から、臨床試験の複雑な業務に至るまで、あらゆる場面に当てはまります。
ここでは、臨床データのクリーニングやレビューを、DIYで物置小屋を建てる作業になぞらえて考えてみましょう。この作業には、次の3つの選択肢があります。
① 100%自作(フルDIY):小屋のデザインや寸法をすべて自分で決め、材料を一から調達し、木材を切り出し、金具もすべてカスタマイズします。
購入コストは抑えられますが、膨大な時間が必要です。ミスや材料の無駄が発生しやすく、屋根が雨漏りする可能性もあります。
②既製部品を使って組み立て(DIY):既製品の小屋を購入し、あらかじめ用意された部品を組み立てます。追加の部品は、別のベンダーから調達する必要があります。コストと工数は中程度ですが、すべてが完璧に合うとは限りません。そして、この場合でも屋根が雨漏りする可能性は残ります。
③完成品を購入(オーダーメイドの完成品):専門家が製作した小屋を、完成した状態で購入します。作業はすでにすべて完了しており、届いたその日からすぐに使えます。一見すると高価に見えるかもしれませんが、無駄や想定外のコストは一切ありません。すべてがきれいに組み合わさっており、拡張や追加も最小限の手間で可能です。
この屋根は、決して雨漏りしません。
①の選択肢は、今でも大手製薬企業のように潤沢な予算を持つ組織で採用されることがあります。その場合、市販ソリューションを自社開発の独自システムに組み込むケースも少なくありません。また、十分な予算がなく、可能な限り低コストな手段で手作業によるデータレビューを行わざるを得ない組織でも、この方法が選ばれることがあります。
②の選択肢は、現在多くの臨床データレビューで実際に行われている方法に近いと言えます。複数のシステムと手作業のプロセスを組み合わせたこの方法を、私たちは「従来型アプローチ」と定義しています。
カスタム開発の悪夢:従来型の臨床データレビューが抱える課題
従来のDIY型(自社構築)による臨床データレビューは、複数のシステムやプロセスの併用、手作業への大きな依存、断片化されたポイントソリューション、そしてデータサイロといった特徴を持っています。その結果、データ過多、標準化の欠如、導入時の課題、システム間連携の難しさ、文書管理の不整合などにより、想定外の遅延やコストが発生しがちです。さらに、選定したシステムの中に設定変更ができず、カスタマイズを必要とするものが含まれている場合、追加開発や個別対応のサポート、更新・改修のたびに、多くのコストと時間がかかることになります。
以下では、カスタム構築されたDIYアプローチによって特に影響を受ける主な領域を整理します。
データの集約・統合とデータラグ
臨床試験で扱われる社内外のデータソースは多岐にわたり、EDC、eCOA、検査データ、センサー、イメージング、EHR などが含まれます。これらのデータを集約・統合し、標準化・変換する作業は非常に複雑で、時間を要し、スケールしにくいプロセスです。
統合やレポーティングに時間がかかるため、臨床データマネジメント(CDM)チームが確認する時点では、データがすでに古く(“stale”)、リアルタイムな意思決定が損なわれてしまうケースが少なくありません。さらに深刻なのは、データマネジメント、セントラルモニタリング、メディカルモニタリングの各チームが、同一かつ最新のデータを参照していない可能性がある点です。同時点のデータに基づいて作業していないことで、判断のズレや非効率が生じてしまいます。
プログラミング依存とボトルネック
多くのチームは、以下のような日常的なデータレビュー業務を行うために、専門的かつ属人的な技術スキル(例:SASプログラマー)に大きく依存しています。
- SASリスティングの作成:リスティングは個別にプログラミングする必要があり、作成に時間がかかるうえ、柔軟な加工や修正が難しいという課題があります。
- 患者プロファイルや可視化の作成:アドホックレポート、患者安全性プロファイル、各種データ可視化は、多くの場合プログラミングの専門知識を必要とします。
- データクリーニング状況レポートの作成:クリーン・ペイシェント・トラッカーのような最新のデータクリーニング進捗レポートを作成する作業は大きな負荷となり、データマネージャーのためにプログラマーがレポートを作成する必要があります。このプロセスには、複数の手作業やフィードバックの往復が発生します。
これらの業務は、スポンサーまたはCROの社内チームで対応されることもありますが、スポンサーがCROに依頼しなければならないケースも多く、結果として追加の調整や待ち時間が発生します。
手作業による進捗管理と監視
手作業によるプロセスの危険性は、すでによく知られています。人為的ミス、重複、データの欠落、遅延、スケーラビリティの欠如といった高いリスクを伴い、特に複雑または大規模な試験において深刻な影響を及ぼします。
それにもかかわらず、手作業によるプロセスは今なお広く使われています。レビュー進捗を管理するための手動トラッカーやスプレッドシート、連携されていない複数のシステムを用いて、レビュー状況、リコンシリエーション、クエリ管理が行われているのが実情です。EDCクエリを手作業で作成する場合、EDCシステム内で該当する施設、被験者、フォーム、フィールドを一つひとつ辿って新しいクエリを登録する必要があり、膨大な手間とヒューマンエラーのリスクを伴います。また、EDC以外のデータに関するクエリは、別管理となることが多く、ベンダーとの間でスプレッドシートをメール送受信する形で対応されるケースが一般的です。
このような断片化されたカスタム構築型アプローチによる負の影響は、あまりにも長年にわたって受け入れられてきたため、いつしか「当たり前の課題」として認識され、臨床試験を実施する上で避けられないものとして容認されてきました。
業界には、従来型の臨床データレビューの課題をある程度軽減するソリューションやプラクティスも存在します。しかしその多くは、依然として分断された複数システムのエコシステムの一部にとどまっているのが現状です。
Medidataは、25年以上にわたる臨床試験プロセスおよびテクノロジー分野での経験を活かし、データ統合とレビューの在り方を根本から再構築してきました。
「ベストインクラス」を再定義する、自動化・リアルタイムのデータレビュー
Medidata は、Clinical Data Studio(CDS) を開発しました。CDSは、使いやすいノーコード/ローコード環境で提供される、AIを活用した革新的なデータ品質管理・自動化ソリューションです。データ集約の効率化、高度な管理ワークフロー、データ標準化を通じて、臨床データレビューにおいて比類のない効率性を実現し、研究者が臨床開発をより迅速に進められるよう支援します。
「Clinical Data Studio の最大の利点は、リアルタイムでデータを確認し、異常を特定し、データの傾向や課題を把握したうえで、それらを解決し、よりクリーンなデータベースを構築できる点にあります。Clinical Data Studio は、データベースロックまでの期間短縮を実現するうえで、大きく役立っています。」
– Swathi Vasireddy, Associate Director, Clinical Data Management, Corcept Therapeutics
ニアリアルタイムデータと容易なデータ取り込み
- ニアリアルタイムのデータフィード: CDS は Medidata Rave EDC からのデータを自動的に受信し、日次でデータを更新します。この機能は現在、6時間ごとの更新へと強化されています。
- Medidata以外のデータの容易な取り込み: CDS は、検査データ、他社EDC、他のeCOAなど、Medidata以外のデータソースからのデータをセルフサービスで簡単に取り込むことが可能です。取り込み時にデータ検証を行うため、レビューに利用できるまでの時間が短縮されます。
- ノーコード/ローコードによる標準化と変換: データ標準化(数千の変換係数ライブラリを用いた自動単位変換)や、データ変換(派生データセットの作成)は、ビジュアルなドラッグ&ドロップ操作で実行できます。これにより、技術チームの負担を大幅に軽減します。ITおよび臨床プログラミングチームは、最短3日でCDSを設定・利用開始することが可能です。
自動化されたレビューとクエリ生成
- プログラミング不要でリスティングを作成: データレビュー用リスティングは、ドラッグ&ドロップ式のエクスプレッションビルダーを使って作成できます。これにより、プログラミングへの依存を大幅に削減し、リスティング作成時間を最大90%短縮します。また、リスティングは再利用可能なテンプレートとして保存でき、試験間での標準化と迅速な展開が可能です。
- クエリの一括自動生成: Rave EDC データに関連するクエリは、リスティングの例外(異常)から自動生成され、正しい被験者・フォーム・フィールドに対して一括で投稿されます。通常、1分以内に完了します。
- オンラインでの進捗管理(クエリ/レビュー): レビュー状況、クエリ状況、ベンダーデータの課題は、一元化されたオンライン画面で管理され、手作業のスプレッドシートは不要になります。CDS では、データベンダー課題の解決に向けたコラボレーションも、すべてシステム内で完結します。
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Visual Element 1: The complexity of the manual data review process (13+ steps) versus the streamlined CDS process (4 steps).
- AI支援によるデータリコンシリエーション: Medidata 独自の AIアルゴリズムにより、有害事象(AE)、併用薬、既往歴といったデータセットにおける複雑なデータリコンシリエーション作業を自動化します。不整合を特定するとともに、検出結果に対する信頼度(コンフィデンスレベル)を提示します。これにより、煩雑で高度な手作業レビューを置き換え、プロセスを大幅に効率化します。※AIリコンシリエーションの詳細は、ガイドをご覧ください。
- 包括的で設定が容易な患者プロファイル:患者プロファイルは、プログラミング不要で迅速に作成・維持できます。視覚的に分かりやすいグラフィカル表示と、詳細な患者ナラティブを組み合わせることで、レビュー時間を最大50%削減します。
「Patient Profiles も非常に優れています。必要なときにいつでも更新されるリアルタイムデータにアクセスでき、さらに [Medidata] Data Connect を通じた外部データセットも含まれています。メディカルモニターと臨床チームが、単一の患者について同じ情報を同時に確認できる――まさに“ワンストップ”の環境です。」
– Swathi Vasireddy, Associate Director, Clinical Data Management, Corcept Therapeutics
- プログラミング不要のアドホック可視化: ユーザーは、複数のチャートタイプを用いてアドホックな可視化を簡単に作成・フィルタリングでき、プログラミングスキルを必要とせずに、迅速なデータ分析(インタロゲーション)が可能です。
- ひと目で分かる進捗管理: クリーン・ペイシェント・トラッカーのダッシュボードは、データクリーニングの進捗状況を常に最新の状態で、ひと目で把握できるようにします。手作業によるレポート作成やスプレッドシートは不要です。リアルタイムでの包括的な可視化とドリルダウン機能を備え、各ユーザーの役割にとって重要な進捗ステータスを表示するよう柔軟に設定できます。
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Visual Element 2: The complex, manual process for the clean patient tracker (7+ steps) versus the single automated step in CDS.
より良い未来を、より早く
従来型のDIYによる臨床データレビューが抱えてきた制約、遅延、コストを受け入れ続ける時代は終わりました。リソースを大量に消費するプログラミングや、手作業のトラッカーに依存した分断されたデータレビュープロセスは、過去のものにできます。
Medidataは、「ベストインクラス」の定義を再構築しました。従来のDIYアプローチに代わり、Clinical Data Studio(CDS)という、ニアリアルタイムデータ、ノーコード/ローコードツール、自動化、組み込みAIを活用した統合型・インテリジェント・プラットフォームを提供しています。
その結果、
リスティング作成時間を最大90%削減、データレビューのサイクルタイムを最大80%短縮、患者プロファイルのレビュー時間を最大50%削減といった成果が期待できます。さらに、最短3日で利用を開始することが可能です。
脆弱で継ぎ接ぎのシステムを組み上げることに、これ以上時間を費やす必要はありません。統合され、効率的で、将来に備えたソリューションを、今すぐ活用しましょう。
Medidata Clinical Data Studio の詳細はこちら。
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