臨床試験現場のAI活用における期待値と現在地  ~臨床試験学会レポート~

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2026-03-20

2026年2月19日~21日に神戸国際会議場で行われた日本臨床試験学会第17回学術集会総会でメディデータが独自に実施したアンケート結果をもとに作成しています。

臨床試験を取り巻く環境において、AIはもはや「バズワード」ではなく、実態を伴って各種業務への影響をもたらすものとなっています。メディデータが出展、ランチョンセッションを実施した臨床試験学会の会場では、昨年からの「AI Everywhere」のメッセージとともに臨床試験におけるAIの導入とその変化についてご紹介し、来場者へのアンケートとして製薬企業・アカデミア・医療機関におけるAIの導入や活用の実態を調査しました。

臨床試験におけるAI活用

 

日常生活のどこを切り取ってもほとんどのものがITテクノロジーに支えられ、その多くにAI機能も含まれています。人々の健康な生活の実現・維持、QoL向上を支えるライフサイエンス業界にとっては、AIの不確実性やセキュリティリスク、データへアクセス制限などからAIの導入については障壁の高い分野の1つでしたが、すでに臨床試験においてもAIによる業務効率化、試験のあり方の変化が始まっています。

 

臨床試験におけるAI活用は、以下の4つの視点で進められていると考えています。

 

  1. Velocity:反復作業の効率アップ
  2. Feasibility:過去データを活用した試験計画
  3. Integrity:リアルタイムかつ網羅的な監視
  4. Autonomy:専門スキルの非属人化、スタートアップの迅速化

 

それぞれの詳細は以下の通りです。

  1. Velocity:反復作業の効率アップ

膨大な時間を要していた比較的労働集約的な反復作業をAIで自律的に処理。

これによりデータベースロックまでのリードタイムを削減。

  1. Feasibility:過去データを活用した試験計画

過去の膨大なデータを試験の計画段階に活用。実現可能性(Feasibility)の高い試験デザインを能動的に立案し、不確実性を排除した戦略的な計画を実現。

  1. Integrity:リアルタイムかつ網羅的な監視

人手では不可能な規模のデータをAIが短時間で横断的にチェック。全データを網羅的に監視し、入力段階から「品質を作りこむ」ことで、後工程のリスクを最小化し、Risk Based Approachを強化。

  1. Autonomy:専門スキルの非属人化、スタートアップの迅速化

属人的なスキルに依存せず、高品質なシステムを短期間での構築を実現。

 

メディデータが実施したアンケートでは、臨床試験現場を支える方々が「AI活用の重要度が高いと考えている業務範囲(期待値)」では、まさに上記4つの観点と合致しています。

(アンケート回答者は「医療機関関係者」が最も多く37.9%、次いでアカデミアが31%、製薬企業の方は20.7%でした。また、職種としては半数以上がデータマネジメント業務の担当者で、実務担当が75%超となっています。)

最もポイントを獲得した「プロトコル作成支援」は、 Velocity、 Feasibility、Autonomyなどの掛け合わせに、次いで上位となった「文書作成・翻訳の自動化」は最も速くAIの効果を実感しやすい部分でもあるAutonomyに該当する内容と考えられます。

特にプロトコル作成については、関係部署でのレビューや度重なる修正によってドキュメントのやり取りに多くの時間を費やし、試験実施までのリードタイムが長期にわたることで試験準備の効率化・迅速化を妨げる要因の1つとなっています。過去のプロトコルの知見が十分に学習データとして活用されていないことも多く、試験ごとに新たなプロトコルを作成しなおす手間も発生してしまいます。

こういった背景から、今回のご参加者からはAIを活用したい分野として高いスコアをマークしたものと考えています。

また、この結果に関連した課題として試験デザインの最適化にスポットがあたっていることもわかります。(下図参照)

プライバシーや知的財産権の制約によりデータ活用ができない場合も多いため、過去のデータを参照した試験デザインの最適化には大きな壁もあります。これに対してメディデータでは、生成AIを活用して合成試験データを作成することで、モデリングとシミュレーションにより迅速かつ安全で成功確率の高い試験デザインを支援しています。

上記にとどまらず、現在臨床試験現場が直面している「信頼性の確保」「リソース不足」「バリデーションの負担」といった切実な課題に対して、メディデータは様々な角度から試験運用の効率化を支援しています。

特に、試験の立ち上げ段階であるスタディビルド(EDC構築)におけるメディデータのソリューションは、AIや標準化技術を活用し、従来のプロセスを根本から変革します。標準化されたライブラリと自動化技術により、構築にかかる期間やリソースを50%近く短縮・改善することができます。

AIが生み出す価値

それぞれの業務レベルに応じた最適なAI活用によってもたらされる効果は、今後ますます私たちの想像を超えて計り知れないものになっていくかもしれませんが、メディデータのこれまでのAIの取り組みによって実現した効果はすでに臨床試験そのものの価値向上につながっています。

今回の臨床試験学会の参加者へのアンケート結果では、ご回答者に医療機関関係者様が多いこともあり、「AIの導入を予定していない」という回答も多数ありますが、以下のような業務にすでに活用されています。

また、AIの導入効果の実感値としては、「収集における効率化」および「データ品質向上」には一定の評価があることもわかります。

今回のアンケート実施および回答は小規模ではあるものの、生成AIに注目が集まり始めた当初の「AIで何ができるか」という議論から「どの実務に組み込み、結果を出すか」という実業務での活用・評価フェーズに移行していることが明らかになりました。また、AI導入については検討段階との回答も多くありましたが、裏を返せばまだまだAI導入の余地があるということでもあります。

単純なツールとしての手元業務の効率化には拍車がかかる反面、人間による意思決定をサポートする真のAIの活用には人材育成や検証などの観点からももう少し時間が必要であるように思いますが、導入効果を発揮しやすい分野からのスタートはすでに始まっています。

臨床試験の効率化、迅速化を通して患者さんにより早く治療を届けるための強力なパートナーとして、メディデータは「AI Everywhere」から「AI for Impact」へとさらに進化していきます。

 

AI for Impactの詳細はこちら
https://www.medidata.com/jp/ai-for-clinical-trial-impact-medidata/

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