IQVIAのTracy Mayerが語る「真に患者中心の臨床試験の構築」

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2025-12-05
IQVIAのTracy Mayerが語る「真に患者中心の臨床試験の構築」

Clinical Minds「Innovator Insights Corner」へようこそ。ここでは、Medidataが提供するポッドキャスト「from Dreamers to Disruptors」 に登場するゲストたちから、
ライフサイエンス分野のイノベーションをめぐる興味深いストーリーや視点、そして未来への示唆をお届けします。本ポッドキャストでは、イノベーションの最前線と、それを形にしてきたビジョナリーたちの想いに迫ります。


臨床試験において、患者は私たちのすべての取り組みの中心にあります。そして、新しい治療法を切り拓き、人々がより長く、より豊かな人生を送れるようにするうえで、テクノロジーは常に重要な役割を果たしてきました。

急速にデジタル変革が進む現在、私たちはこれまで以上に多くのツールを手にしています。しかし同時に、新しいテクノロジーに注目するあまり、本来の使命を見失ってしまわないためには、どうすればよいのでしょうか。

IQVIAは、製薬業界を代表する企業と協業し、最先端の臨床試験を実現するための臨床研究サービスを提供しています。IQVIAで データサイエンス、セーフティ、メディカルライティング担当シニア・バイス・プレジデントを務める Tracy Mayer は、臨床試験のイノベーションを支えるテクノロジーと、そのすべてのプロセスにおいて患者中心性を確保するための活用方法について、他に類を見ない知見を有しています。

コネクテッドデバイスとウェアラブルセンサー

ウェアラブル技術を活用することで、心拍数や血糖値、身体活動量をはじめとする、さまざまな健康関連データを遠隔で収集することが可能になります。こうしたモニタリングデバイスの進化は、臨床試験における患者データの収集方法を大きく変えつつあり、患者が自分のペースで試験に参加できる環境を整えることで、試験全体を通じた患者中心性の実現を後押ししています。また、遠隔でのデータ収集は、分散型臨床試験(Decentralized Clinical Trials:DCT) の拡大において重要な役割を果たしてきました。これにより、これまで以上に幅広い患者層の参加が可能になると同時に、慢性的に負荷のかかりがちな医療機関の負担軽減にもつながっています。

「コネクテッドデバイスには非常に大きな可能性があります。センサーは、来院した日だけでなく、日常生活の中で常に患者データを取得できるという点で大きな強みを持っています。また、センサーやウェアラブルが臨床試験にもたらす価値は、単なるバイタルデータの収集にとどまりません。にもかかわらず、私たちはその可能性をまだ十分に活かしきれていないのです。」

– Tracy Mayer

新たなイノベーションには、必ず課題が伴います。ウェアラブルがもたらす利点は大きいものの、多くの領域で導入は依然として緩やかです。意思決定の分断や変化への抵抗が、高い価値を持つコネクテッドデバイスを臨床試験プロセスに迅速かつ効果的に取り入れる妨げとなっています。

「コネクテッドデバイスは、私の管轄する事業部に属しています」と Tracy は語ります。「それは、コネクテッドデバイスが“データの源であり、私たちがデータ全体を俯瞰して見ている組織だからです。ただし、この業界では、コネクテッドデバイスに関する意思決定者があちこちに分散しています。臨床やデータマネジメントの意思決定者を見つけるのは簡単ですが、スポンサーがコネクテッドデバイスについてどのように意思決定しているのかを把握することは、非常に難しい課題でした。」

ウェアラブルを含むスマートデバイスは、よりクリーンで、より迅速なデータ収集を可能にします。その実現には、適切な導入プロセスとシステム統合の確立が不可欠です。製薬企業がこうした課題を乗り越えることができれば、さまざまな疾患領域にわたる貴重なインサイトを得られるだけでなく、治験実施施設と患者双方の負担軽減にもつながるでしょう。

臨床試験における変革の加速

臨床試験をより迅速に実施できるかどうかは、生死を分ける結果につながることがあります。Tracy は、わずかな時間の差がどれほど大きな意味を持つかを、身をもって知っています。彼女の近所に住む膵臓がん患者は、有望な新しい臨床試験に参加できる可能性があったにもかかわらず、そのわずか2週間前に亡くなってしまったのです。

「現実を突きつけられる出来事でした」と彼女は語ります。「もしその試験があと2週間早く立ち上がっていれば、その方はより良い治療結果を得られたかもしれないし、少なくとも、より長く、より良いQOLで過ごす時間が持てたかもしれません。」

COVID-19は、臨床試験業界が前例のないスピードで行動し、医療上のブレークスルーを実現できる力を持っていることを示しました。「私たちは一気にハードルを越え、すべてを実現し、それは実際にうまくいきました」と Medidata の CEO、Anthony Costello は振り返ります。「しかしその後、『慎重に進めよう』『選別しながら進めよう』という従来のモードに、いつの間にか戻ってしまったのです。」

私たちは、臨床試験を加速できる可能性があることをすでに知っています。それでもなお、なぜこの業界は、人命を救うそのスピードを維持し続けることができていないのでしょうか。

「重要なのは、どのテクノロジーやプロセス改善を段階的に取り入れるべきか、その“正しい枠組み”を見極めることです。それによって、10年に及ぶ医薬品開発プロセスを、COVIDの時に実現したようなスピード感に近づけることができるのです。」

– Anthony Costello

Tracy は、変革を加速し、新しいテクノロジーの導入を進めるために欠かせない要素として、本気のコミットメントと、着実に進める姿勢を挙げています。「本当に大切なのは、測定可能な目標を設定し、その達成に対して責任を持たせることです」と彼女は語ります。Tracy が率いるチームは20名で、新しいアイデアを生み出し、それをどのように実行に移すかを探ることに専念しています。「そうした取り組みに必要なリソースへ投資する覚悟を持ち、本当にそれが得意な人材を見つけることが重要なのです。」

Tracyからの行動喚起:真の患者中心性を確かなものにするために

患者中心性は、この業界全体で頻繁に掲げられている目標です。それは当然のことでもあります。私たちは皆、人々がより長く、より健康な人生を送れるようにする治療法を生み出すという共通の目的に向かって取り組んでいるからです。しかし、最新テクノロジーに意識を向けすぎることで、こうした根本的な価値観を見失ってしまうことはないでしょうか。

「私にとっての行動喚起は、患者を真に中心に据えた臨床試験に立ち返ることです。患者こそが、その中心にいるべき存在なのです」と Tracy は語ります。AIやコネクテッドデバイスといったテクノロジーは、治療をできるだけ早く市場に届けるという目標を支えるための、有効な手段になり得ます。

「さまざまなことに取り組む中で、私たちは少し目的を見失ってしまっているのかもしれません」と彼女は続けます。「AIはとても大きな期待を集める存在で、多くの人をワクワクさせています。でも、この業界の目的はAIをやることではありません。私たちの存在意義は、薬をより早く患者さんに届けることなのです。」

「だからこそ、その原点に立ち返り、今私たちが語っているテクノロジーを、どうすれば本当にそれを実現するために使えるのかを考えていく必要があるのです。」

これは、こうしたツールへの投資をやめよう、あるいは、より迅速で安全な治療を実現する可能性を軽視しよう、という呼びかけではありません。ただ私たちは、それらはあくまで手段であること、そして私たちのツールやプロセスはすべて患者のために存在しているという事実を忘れてはならないのです。

あらゆる段階において、「このツールは患者にどのような価値をもたらしているのか」を問い続けるべきであり、「最新のテクノロジーにプロセスを合わせるにはどうすればよいか」を考えることが目的になってはいけません。そうすることで、患者中心性は、私たちが行うすべての取り組みの中心にあり続けるはずです。


Tracy Mayer と Anthony Costello の対談全編は、ポッドキャスト 「from Dreamers to Disruptors」第6回 でお聴きいただけます。新しい臨床試験テクノロジーの導入を加速するためのアプローチや、あらゆるプロセスにおいて患者中心性を高めていく方法について、さらに深く掘り下げています。

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